1 なぜ建設コンサルタントの福山コンサルタントがクラフトビールの製造を?
高井もともと「環境マネジメント事業」の一環としてスタートしたんです。市民と自然のふれあいを作る事業をすすめる中で、ビールの原材料となるホップを活用したグリーンカーテンづくりを始めたのがきっかけです。
リポーターなぜ、ホップでグリーンカーテンを作ることに?
高井育てやすいうえにビール等の加工品にも使えるし、なによりビールになると思ったらワクワクしませんか?笑
リポーター私もビール好きなのでその気持ちわかります。笑
高井それに、ビールの本場ドイツではクラフトビールは地域特性が反映されるローカル商品の筆頭なんです、日本でいうところの地酒みたいな。地域を盛り上げる目的にぴったりだ!と思いホップグリーンカーテンを作ることにしました。地域で育てた素材で地域の中で加工して、地域の人に飲んでもらいたい、そんな熱い想いから地域の農家の皆さんの協力のもと2020年に「HIBIKI FRESH HOPS 若松エール」として発売を開始しました。
2 取組の背景にはどのような“課題”があったのですか?
高井ビールの製造過程で生まれる大量の廃棄物が悩みの種でした。せっかく地域で育てた素材が地域の外に捨てられることに違和感を抱いて、「廃棄物にもなにか価値を生み出せないか?」と思ったのがきっかけです。
リポーターどのくらいの量が廃棄されていたのですか?
高井ビール粕(ビールを作る際に使用した麦芽)は1年間で35トン、トラック10台分です。捨てるには多い量ですが、再利用するには少ない、ちょっと中途半端な量になるのが厄介な点でして。当初牛の飼料化を検討したのですが飼料として必要な最低量を確保できなくて断念したんです。そこで「そうだ!ニワトリなら!」と思い、養鶏場への飼料供給を始めました。
リポーター栄養的にもバランスが良かったんですか?
高井そうですね、使っていた大豆油かすに比べ高たんぱくで、元気なニワトリを育てるのに最適ですし、何より無償提供ですので餌代も減らせる。養鶏場の方からも大変好評でした。
地域で生まれた素材を使ってビールを作り、ビールから生まれたビール粕を食べてニワトリが育つ、そしてニワトリからとれる卵やプリンがまた地域の中で流通する、理想的な循環型社会・SDGsの取組になったと考えています。
地域で生まれた素材を使ってビールを作り、ビールから生まれたビール粕を食べてニワトリが育つ、そしてニワトリからとれる卵やプリンがまた地域の中で流通する、理想的な循環型社会・SDGsの取組になったと考えています。
リポーター地域の中で生産と消費が循環する素敵な取り組みですね。
高井近年の不安定な社会情勢や円安の影響で一般的な飼料が高騰している中、地域内循環サイクルを回し地域内自給率を上げることは地域を守ることに繋がると私は思っています。
リポーター飼料だけではなく、ビール粕を使ったパンの製造、規格外ホップを使ったシャンプーなども作られているのですよね?
高井はい、ビール粕の飼料化は廃棄にかかる費用を無くすいわゆる「マイナスをゼロ」にする取組でした。しかし、せっかくなら新しい価値を生み出す「マイナスからプラス」にする取り組みをしてみようということでパンやシャンプーの開発にも取り組みました。
ビール粕から製造されるパンは低糖質高たんぱくと体にいい商品で、今年中には、北九州市内でお披露目される予定です。さらにビールに加工することができなかった規格外のホップ(はね出しホップ)を活用したシャンプーは若松区長にも気に入っていただけました。今後はホテルなどに置てもらい、観光客など北九州を訪れた人に地域の魅力を知ってもらうきっかけになればうれしいです。
ビール粕から製造されるパンは低糖質高たんぱくと体にいい商品で、今年中には、北九州市内でお披露目される予定です。さらにビールに加工することができなかった規格外のホップ(はね出しホップ)を活用したシャンプーは若松区長にも気に入っていただけました。今後はホテルなどに置てもらい、観光客など北九州を訪れた人に地域の魅力を知ってもらうきっかけになればうれしいです。
3 取り組みの結果とこれからの展望を教えてください
高井更なる商品ラインナップの増強ですね。ビールの種類だけでなくスキンケア商品などバリエーションを増やして最終的には北九州の全市民がターゲット層になるような、そんな事業を目指しています。
4 最後に一言!
高井“まちづくり”というのはとても抽象的で実際に自分に何ができるのか分かりにくい取り組みです。しかし、考え方を変えれば無限に可能性があるということだと私は思っています。特に若いうちは頭も柔らかいですし、やってみたいこと、やれることを考えていろんな可能性を広げていってほしいなと。
今回の取組もそうですが、地元企業や市民との繋がりを連鎖的に作っていってできる事を何でもやる、それが地域を元気にしてまちを変えていく“まちづくり”につながったと感じています。
今回の取組もそうですが、地元企業や市民との繋がりを連鎖的に作っていってできる事を何でもやる、それが地域を元気にしてまちを変えていく“まちづくり”につながったと感じています。
高井 洋志(入社:2001年)
所属:東京支社 地域・交通計画グループ
出身学部・学科:工学部 土木工学科
所属:東京支社 地域・交通計画グループ
出身学部・学科:工学部 土木工学科